(①からの続き)
イ)売上高は業績として公表されるもので、秘密に当たらない
日本ネット経済新聞では、2024年3月14日付で、「レバレッジ、純利益が3億円超の赤字に」と見出しを付けて、ビラ配布の前月である2023年10月期の純利益が3億3272万円の赤字に転落したことを報道しています。
あわせて、2022年10月期の当期純利益は、前期比26.6%減の1億9300億円となっていたこと、2023年10月期の売上高が、前期比10.4%増の74億円になっていたが、3億円超の赤字であることを報道しました。
これは、組合ビラが指摘した以上に深刻な会社状況であり、組合ビラの毎月売上高グラフを、ことさら秘密事項だとする根拠がまったくないことを示しています。
なお、同様の経営状況のデータは東京商工リサーチでも得ることができます。
ウ)会社が言う「秘密」の漠然性、曖昧性、広範性
加えて、就業規則にいうところの「業務上知りえた秘密」には、「秘密」とは何か、曖昧であり、会社の恣意的な判断がなされます。
このように曖昧で漠然とした規程で社員を罰することは、漠然性、曖昧性、広範性ゆえの不当にあたります。
なお付言すると、レバレッジ社経営管理部長で取締役T・T氏は2023年11月21日にAさんが自宅待機を命じ、その際私物一式を持ち帰ること、在籍社員でありながら就業規則は「機密」なので持ち帰らないことを命じました(私物の撤収時に、就業規則を持ち帰らないか、団交に出席している経営管理部のR・M氏が立ち合い監視しました)。
第4回団交のなかで、会社側弁護士は申立人組合が就業規則を知っていたことを怒り出し、就業規則まで「秘密だ」という無茶な論理を展開しました。
このような「秘密」の理解こそ、問題であり、就業規則を組合に対し秘匿しようとした組合嫌悪です。
(2) 解雇手続きは就業規則に従わず解雇権乱用である
レバレッジ社は、Aさん宛の2023年12月28日付メールにて、懲戒事由をあげてAさんに弁明を求めてきました。
申立人組合は、ビラ配布は組合活動であり、「弁明」についてはその当否も含めて団体交渉の中で取り扱うこととし、第3回団体交渉が2024年1月18日に行われ、Aさんの自宅待機撤回をめぐり第4回団体交渉も開催予定で、継続中でした。
その最中に、本件解雇が通知されました。
「弁明」の当否も含め、労使協議が完了する前におこなわれた手続き違反です。
さらに、就業規則第X条(懲戒の原則)第1項では、「服務規律に従わず、是正が必要な正社員に対しては注意を行い、適正な指導及び口頭注意を行うものとする。注意は、正社員に非違行為の内容を口頭で指導し、必要な助言を行い、改善を求めることにより行う」と定め、第2項で、なお改善がはかられない時に、「本章に定める懲戒処分を行うことがある」としています。
そして第Y条(懲戒の種類、程度)では、第1項で譴責から懲戒解雇まで7段階の処分を定め、第2項で「懲戒は当該非違行為に関する教育指導と共に」、「段階的に行うものであり、各号の懲戒を行ったにも係わらず、改悛の見込みがなく、且つ非違行為を繰り返す場合には、上位の懲戒を科すことを原則とする」と定めています。
この規則に従うならば、まず注意、指導を行い、改善がなければ、その後懲戒処分を譴責など低いものから段階的に行い、上位の懲戒処分をなすことが原則となっています。
Aさんに対しては、この手続き、段階的処分を行わず、いきなり解雇にいたっています。
解雇権の乱用です。
レバレッジ社は、第4回団交の中で、懲戒解雇ではなく普通解雇であるから懲戒規程は適用されない旨を主張したが、懲戒事由をあげて自宅待機の処分まで科す懲戒をし、さらに解雇しているのであるから、普通解雇を装うことで厳密な懲戒処分手続きを無視する方便に過ぎません。
実態は、就業規則の手続きを踏まない乱暴な懲戒解雇であり違法です。
(3)レバレッジ社は就業規則の一部しか示さず、肝心のY条以下を開示せず、「秘密」であると主張したことは、申立人組合との合意をはかろうとしない不誠実団交である
この第4回団交で会社が開示してきた「就業規則」第A章服務規律第B~C条のうち、D条からE条までと第F章解雇第G~H条のうちI及びJ条というもので、肝心のK条(懲戒の原則)・L条(懲戒の種類、程度)が入っていませんでした。
さらに、申立人組合が把握していたK条、L条に基づく説明を求めたことに対し、会社側代理人は、どこから就業規則を手に入れたかと詰問したうえで、就業規則を秘密である旨主張しました。
これは、レバレッジ社は解雇理由、手続きの合理性の説明を回避し、申立人組合と集団的な労使関係を通じた解決合意形成を図る意思のない、不誠実な交渉態度でした。
まとめ
以上のように、企業秘密の漏洩の懲戒事由はなく、解雇理由には合理性がありません。
手続きにおいても解雇権濫用であり、「就業規則」を秘密扱いと主張するなど不誠実な交渉態度でした。(③に続く)
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